リモートを妨げる印鑑文化

リモートを妨げる印鑑文化

04/24/2020
Culture

リモートを妨げる印鑑文化。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、印鑑不要論が議論されています。防衛省は4月27日からこれまで印鑑が必要だった政務三役や陸海空の幕僚長らの内部決裁を電子決裁にするようです。この印鑑文化不要論は過去にも何度も議論されていますが、未だ印鑑文化はなくなっていません。

約1年前の2019年3月、業績手続きのオンライン化を目指す「デジタル手続き法案」が部分的に見送られることになりました。(参考)印鑑の存続を求める業界団体から反対の声が上がったことが原因とされています。今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、今度こそ、印鑑が不要になるのでしょうか。

これほど議論になる印鑑ですが、いつどのようにして誕生して日本に広まったのでしょうか。簡単に歴史をみてみたいと思います。

日常生活で使用している印鑑は今から5000年以上も前にメソポタミア地方で誕生したと言われています。当時の印鑑は現在のような形状ではなく、幅が15cmほどあり印鑑としてはかなり大きく、そこに絵や文字を刻んで粘土板に押印するというタイプのものでインクや染料を使用するものではなかったようです。その後メソポタミアから世界各国に広まっていき、日本や欧米などに影響を与えていきましたが、欧州各国では印鑑を押すという習慣はほとんど残されていないようです。

日本で印鑑が使われ始めたのは奈良時代の律令制が制定されてからになるので、700年前後だと考えられます。当時の印鑑は今のように手軽に個人が持てるものではなく、許可が必要でした。現在のように誰もが使用できるようになったのは明治時代に入ってからだと言われています。当時から用途は身分を証明するためや許可を出す際に使われていたようで、その辺りは現在とそれほど変わっていないようです。
(参考:オフィス用品の教科書

公益社団法人全日本印章業協会によると、印章(ハンコの正式名称)は日本社会において本人である証明と本人の意思の確認のための重要な役割を持った道具とされています。実印は、自分自身を証明してくれるツールと考えられており、実印は生涯離さずに持っているものとされています。

今回の新型コロナウイリスは、100年に一度のパンデミックとまで言われています。企業や行政文書で使用されている印鑑がネックとなって、事実として在宅ワークの障壁ならば、今度こそ、印鑑は廃止すべきだと思います。

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